医療法人 さほり眼科

 

 

近鉄奈良線「若江岩田駅」近くの眼科。赤ちゃんの目の健康相談、こどもの視力低下から、大人のつかれ目、中高年の白内障、緑内障に至るまで幅広い診療を行っております。コンタクトレンズ指導・取扱い。
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2012年のひとりごと

2012年度の日記一覧

原発再稼働反対について考える

7月1日

 

7月1日

総理官邸前では毎週金曜日に原発再稼働反対のデモが行われているという。参加者はツイッターなどの呼び掛けに応じた一般の人々が多く、組織動員ではないらしい。参加者のインタビューを聞くと、原発再稼働と聞いて怒りに震えて参加した、などと答えていた。

 ちょっと待って。確かに今の福島の惨状を見ればあんな危険な原発なんか無くしてしまえ、という気持ちはよく分かるし、日本の大多数の人々がこのままではいけないと思っているとも思う。まだ「脱原発を進めよう」とか「原発をなくそう」とかいうのなら分かるが、あのヒステリックな「再稼働反対!」のシュプレヒコールを聞いていると原発を止めたら安心だというのはあまりにも単純で感情的で短絡的過ぎはしないかと思う。

 

もうすでに日本は原発への依存度がかなり高い社会になってしまっているのである。デモの参加者の多くは感情に走り、中長期的に脱原発を進めるかという問題とどのくらい電力を要するかわからないこの夏場を乗り切るために原発再稼働をするという超短期的な問題を混同しているように思えてならない。

 今後、多少コストがかかっても太陽光・風力・地熱などを利用した再生可能エネルギーや、メタンハイドレート・オーランチオキトリウム・植物などを利用した石油・天然ガスに取って変わるエネルギーの開発を進め、原発への依存度をなるべく早く減らしていこうという話であればよく分かるし、国会でも合意を得られる可能性は十分あるのではないかと思う。これに対して裏で経産省や原子力ムラと呼ばれる勢力を中心に原発利権を守ろうとする力が働くようならそれこそもっと声を上げていくべきであろう。

 震災前から指摘があったにもかかわらず、地震や津波などの自然災害によるリスクを低く見積もって福島原発事故を引き起こした東電の責任は免れない。しかし、日本で原発が稼働して約50年の間、中越地震や今回の東日本大震災も含めて日本を襲った様々な自然災害に対して今回の福島以外の原発はすべて事故を起こさず耐えてきたというのも事実である。今回の事故を教訓に日本全国の原発でさらにハードルを上げた安全対策の見直しがされるべきであり、必ずやされていくはずである。

 おそらくデモ参加者の大部分は原発を止めれば、あるいはすぐに廃炉にすればそれで安全・安心と考えているのではないだろうか。しかし、いくら再稼働しようがしまいが使用済み燃料棒の冷却が維持できなければ事故は起こりうるわけであり、事故のリスクは変わらないというのが事実である。廃炉にしたって使用済み燃料棒の処理方法は全く定まっていない。どの道、自然災害や、さらに言えばアルカイーダや北朝鮮など、テロの脅威に対する所までしっかりと安全対策の見直しをする必要があると言える。

 

しかし、原発再稼働はこの夏の喫緊の問題である。ここでリスクの比較を考えたい。原発の再稼働をした場合、たとえば安全対策の強化に10年以上かかるとして、この間に300年に一度という東日本大震災レベルの災害が原発を襲って福島同様の事故が起きて死者が出るリスク(確率的には相当低いのではないか)と、すべての原発の再稼働を止め続けた場合、この夏以降毎年、猛暑によって電力不足が生じてブラックアウトなり計画停電によって病院での死者や熱中症による死者がでたり、中小企業の操業停止、経営圧迫による倒産等で自殺者が増加したりするリスクを天秤にかけて欲しい。しかも、福島原発事故による放射能障害での死者はゼロであり、また先に述べたように自然災害によるリスクは再稼働をしなくてもなくならないのである。関電はデータを隠していて再稼働しなくても電力は十分足りるという人もいるが、異常気象が珍しくない昨今、記録的な猛暑が来ても果たして本当に大丈夫と言い切れるのだろうか。当初再稼働反対を主張していた橋下徹大阪市長もこのリスクを考えて怖気づいたようだ。冷静に考えれば答は自ずとと明らかである。

 デモに参加していないサイレント・マジョリティは、私自身もそうであるが、原発はないのに越したことはないが再稼働せずに停電になるとあらゆるところで思わぬ事態が起きて大変なことになるのではないかと思っている消極的再稼働賛成派ではないかと思う。何度も言うが再稼働の有無によって原発事故のリスクが変わるわけではない。しかし、もしデモが功を奏して再稼働反対の意見が通って政府が再稼働を止め、もし停電による死者が出た時、責任を追及されるのは決断した政府になるだろうが、感情に任せて再稼働反対を叫んだ人々は果たして責任を感ぜずにいられるのだろうか。

 

医師の責務と医師会・眼科医会の役割について

11月1日

 

11月1日

成り行きで私が一般社団法人河内医師会の役員になってから14年余、社団法人大阪府眼科医会の役員になってから10年余が経ち、現在は両会の副会長を兼任しています。一般市民の方々は当然のことながら、同じ医師でも開業医はまだしも、勤務医、特に中堅から若手の先生たちは医師会や眼科医会との接点がかなり薄いため、医師会や眼科医会がどういう活動をしているのか全く知らないし、興味もないという方々が多数存在します。

 そこで大阪府眼科医会ではまずこういった若い医師たちに眼科医会や医師会の、いわゆる医会活動を理解してもらおうと昭和56年より毎年大阪府内の5大学医学部の眼科入局新人との懇談会を開催しています。「継続は力なり」で、この行事が始まってもはや30年以上になりますが、これを毎年続けることによって一人でも多くの勤務医の先生、またさらに将来開業して行く先生たちに医会活動の一端を知ってもらうことができます。

 

この場では新人眼科医師に対して、大学では教えないような、診療以外の医師の責務、医師会や眼科医会の役割、新人眼科医への注意点などの話をしています。一般の方々やこれから医師になろうとしている人にも医会活動への理解を深めて頂きたいという思いから、これから私がこの会で行った話の内容をご紹介したいと思います。
<はじめに>
 まずは皆さん、ご入局おめでとうございます。最近は大学の医局を避けて直接希望の病院に就職するようなパターンも結構あるようですが、やはり大学は症例が豊富ですし、エキスパートの先生もそろっていますし、同窓会や眼科医会なども含めて教育・経験・人脈などの面でプラスになることが非常に多いと思うので、皆さんが大学に入局されることは個人的にも非常に良い選択をされたと思います。 本日は皆さんに医師会や眼科医会がどんな活動をし、どんな役割を果たしているのかということを中心に話をしてみたいと思います。

<新人医師の進路と医会活動>
 今後のみなさんの進路ですが、大体次の3つのうちのいずれかになると思います。大学に残る、関連病院に勤務する、開業する、の3つのパターンです。しかし、いずれの道に進むにせよ、大体眼科専門医を取るまでの約5年間は一心不乱に眼科学の勉強をし、外来診療をし、手術を学び、研究をし、学会発表を行い、学術論文を書き、というような生活になるでしょう。

 この間は大体大学医局を通じて学会が活動の主体となり、医師会や眼科医会といった医会活動との接点はほとんどないと思います。しかしその後、皆さんが眼科医として一人前になり、更に経験を積んで指導的立場になったり、開業を考えるようになったりする頃より眼科医会との接点ができ始めます。具体的にいうと例えば、市民健康講座や目の愛護デー関連行事で講演を頼まれたり、大阪市の急病診療所の会議に参加したり、出務したり、学校医を委嘱されて学校健診に行ったり、大阪府眼科医会の各種委員会の委員に委嘱されて会議に参加したり、網膜色素変性症などの患者さんの会からの要請で相談医として出務したり、中には保険診療の審査委員に選任される先生など、まだまだ沢山あります。

 

これは、医師・眼科医には、単に患者を診察して病気を治したり、学術研究したりすることだけではない別の使命が課せられているからなのです。医師法の冒頭には、「医師には患者の疾病の治療にとどまらず、国民全体の公衆衛生の増進に努めるという社会的な責務がある」ということが示されています。つまり、医師には診療以外に、国民に対する正しい医療の啓発や教育を行う活動、行政に協力して地域医療に貢献する活動、公衆衛生の増進に努める活動など、社会的で公益に資する事業への参加が求められているのです。

 学会は学術研究が主体ですが、こういった社会的公益的事業を主体に行うのが医師会や眼科医会の役割なのです。先ほどを少し触れましたが、眼科の分野でいうと、市民講座の開催、行政の行う救急医療への協力、学校保健活動、乳幼児の健診、健康保険・介護保険・労災保険など保険診療事業への協力、ロービジョン関連、医療安全対策、医事紛争への対応などでその事業は多岐にわたっています。

 眼科以外でいうと、予防接種や心臓健診、介護認定、休日急病診療所への出務、保健所事業への協力などの医師会の事業もあります。また、学術講演会や講習会を行って自己研鑚に努めたり、会員同士の親睦や医療従事者への教育を行ったり、医師会員や眼科医会員の便宜を図るのも医会の仕事の一つです。眼科医会の事業の詳しい内容に関しては後程、眼科医会の各部署の担当理事から紹介や説明があるかと思います。

 医師会や眼科医会にはさらにもう一つ大きな仕事があります。それは医師・眼科医の現場の声を集約し、医師・眼科医全体の総意として国やマスコミなどに対して対外的な意見表明や主張を行うことです。そのアピールをより効果的にするためにはすべての医師・眼科医が、勤務医と開業医、眼科医と他科の医師、男性医師と女性医師といった立場を超え、一丸となる必要があります。そしてその意見は我々医師や眼科医の立場や生活を守るとともに国民の健康を守るものでなくてはなりません。

 

<医師会・眼科医会のイメージ>
 さて、皆さんは、今まで医師会や眼科医会というのはどういう組織だと考えていましたか? 身内に医師、中でも医師会や眼科医会の仕事に関わっていらっしゃる医師がいるかいないかでかなりの温度差があると思いますが、経済面からしかものを見ない一部の新自由主義者たちの言うところの「自分たちの既得権益を守りたいだけの開業医の団体で、改革の抵抗勢力」といったイメージでしょうか? 今日は、是非そういう曲解したイメージを振り払ってもらい、医師会や眼科医会のいわゆる医会活動とは本当はどういうものかということを皆さんに是非とも理解していただきたいと思います。

 まず、医師会や眼科医会は決して「開業医の団体」ではありません。平成23年12月の時点で日本医師会の会員数約16万5千人のうちA1会員(診療所・病院の開設者)は約8万4千人(約51%)、大阪府眼科医会で言えば、平成24年4月現在の会員数1,258のうちA会員は624名(49.6%)で、やはり開業医と勤務医の比率はほぼ1:1です。

 医療費削減を成し遂げたい財務官僚は常々診療報酬を下げる機会を狙っていて、そのためにあの手この手を使ってきます。彼らはしばしば正確でないデータでさえ恣意的に出してマスコミを誘導し、特に開業医と勤務医の対立や診療科間の対立を煽って医師の結束を分断し、医師会の弱体化を図ってきます。
 例えば開業医と勤務医の年収を比較して差があるのはおかしいから診療所の診療報酬を下げようといった議論です。一般の人だけでなく、医師までもそれに乗るほどもっともらしく聞こえます。しかし、開業医は最初から開業医ではありません。皆、元は勤務医からのスタートです。皆さんの先輩です。それが5年10年と経つに従って徐々に開業する人が増え、勤務医が減っていくわけで人数にも年代にも大きな差があります。
 平成18年の厚労省のデータをみると、医師全体の数は26万3千人、うち病院従事者(ほぼ勤務医)は16万8千人で(平均年齢42.4歳)、診療所従事者(ほぼ開業医)の9万5千人の約1.8倍です。平均年齢は勤務医42.4歳に対して、開業医58.0歳と約16歳もの差があるのです。冷静に良く考えてみれば、皆さんのような若い勤務医の比率が圧倒的に高い勤務医集団の平均年収と、数が勤務医の約半数と少ない上に平均年齢が16歳も高く、年収のばらつきも上下が非常に大きい開業医集団の平均年収を比較した時、開業医の収入の方が高くなるのは当然だとは思いませんか? また、大会社の社員の収入と個人商店の経営者の収入を比較するようなやり方に意味があると思いますか?
彼ら財務官僚は理屈ではなく、先に結論ありきで仕掛けてきます。前々回の診療報酬改定の際には、医療崩壊にかこつけ、外科・小児科・産科に手厚くするという大義名分で、命にかかわらない科だといって眼科・皮膚科などをやり玉に挙げてスケープゴートにし、特に眼科は1年のうちでもっとも点数の高い6月の点数を12倍して他科の点数と比較するというような大雑把で理不尽なやり方で診療報酬を大幅に下げられました。このようなやり方がおかしいということは分かっているはずなのですが、ただ単に自分たちのシナリオに合うデータを作り出しているだけなのです。
 彼らは財政のことしか考えていませんので、眼科が叩かれた結果、新臨床研修医制度導入後減少していた各大学への眼科入局者は更に減り、地方の病院では眼科医が派遣されず、眼科が閉鎖されたり、眼科勤務医の疲弊問題にも繋がってきたりしていることには全く関心がありません。これはほんの一例に過ぎませんが、このようなことが多々あることは最近の消費増税論議を見ていてもよくわかることと思います。黙っていてはなされるがままということです。だから、すべての医師あるいは眼科医は医師会や眼科医会の下に一致結束し、時には政治的圧力を利用する必要があるのです。

 

<新人医師への注意点>
 あと、皆さんに2、3注意を促したいことがあります。
 「後医は名医」という言葉があります。前医でははっきりしなかったことが後になるほどはっきりしてきて診断や治療がしやすくなるということは非常によくあります。この時、安易に前医の批判をすることは必ず医事紛争の種になりますので絶対にしてはならないことと肝に銘じておいてください。
 それから、少し眼科臨床医としての経験を積み、結婚したり、子どもができて家族が増えたり、あるいは開業を考え始めたりすると、やはり経済的なことを考えなければならなくなります。そこでコンタクトレンズ診療、レーシック、美容整形など、商業ベースの眼科医療の誘惑に駆られる人が出てきます。もちろん、これらの医療のすべてを否定するわけではありませんが、甘い話にうまく乗せられると大変な目に遭うことがあります。
 具体的な実例を挙げると、コンタクトレンズ販売業者、もちろん医師ではありませんが、からおいしい話を持ちかけられ、おだてられて家や車を提供され、がんじがらめにされた上でコンタクトレンズ診療所の管理医師にさせられてしまい、自分のしたい医療はスタッフからも全く無視されて、自由に投薬すらできず、全くやる気を失った医師もいます。1~2年前の話になりますが、この「シンワメディカル」というコンタクトレンズ販売会社は不正請求逃れのために厚生官僚に贈賄して捕まりました。
 また、いくらコンタクトレンズ販売会社主導とはいえ、診療報酬の不正請求の責任は法律上、すべて管理医師個人にかかってきます。これによって保険医取り消しや返還請求をされて破滅してしまった医師も過去にたくさんいるのです。コンタクトレンズ・クリニックに限らず、皆さんも甘い話にはくれぐれも迂闊に乗らないよう気をつけてください。
以上で私からの話を終わります。