令和世代のために ~SNSの重要性とメディアリテラシー~

ようよう60歳を超し、思いを新たにしているところです。前半30年(昭和後期)を振り返ると、非常に良い時代でした。高度成長期で先はもっと良くなるという希望が常にあり、一億総中流化と言われるほど格差もなく、米国の「核の傘の下」とはいえ、日本は世界で最も安心安全な社会を体現していました。それに引き換え、後半の30年(平成期)はどうでしょう。バブル経済の崩壊に始まり、2回の大震災を含めた地震や豪雨災害などの天災という不運もありましたが、先進国では日本のみが唯一デフレ構造不況に苦しみ続け、若年世代には辛苦の氷河期が続き、未来への希望も見いだせないまま今に至っています。さらにここに来てコロナショック、ウクライナ戦争、安倍元首相の銃撃死、台湾有事の危機など、経済不安、政情不安が追い打ちをかけています。これからの30年の令和期世代のため、今こそが平成期30年を総括し、反省し、間違いを正し、変革する重要な時期なのだと思っています。

日本人が最も重視すべきは、日本の歴史と文化に基づく共同体としての意識(国家観)を共有することと、国民の生命と財産を守る安全保障です。大東亜戦争で日本人の精神性を恐れた米国のGHQは、日本が二度と自立できぬよう、戦前までの日本の教育や文化、精神を取り戻せぬように焚書を行い、検閲を行い、財政法第4条を埋め込み、米国の国益に沿った洗脳教育と先で皇室が途絶えるよう皇族宮家の解体を行いました。洗脳された我々日本人は米国が仕組んだ「日本人骨抜き」のための占領政策を戦後77年の現在に至るまで忠実に守ってきたわけです。洗脳教育の絶大な効果はお隣のK国を見ればよく分かります。当の米国はいち早く自己都合で朝鮮戦争時に日本を再軍備させて変心し、変わらぬ日本に驚くほどです。冷戦期、米国の傘下で高度成長期を謳歌した日本は、1990年代のバブル崩壊の頃が平和ボケの絶頂期でしたが、ウクライナ戦争や台湾有事危機を目前にした今になってようやく日本人は目を覚ましつつあるのかもしれません。安全保障には国防、警察、医療、食糧、エネルギー、ライフライン、国土インフラなど様々なものが含まれています。これらを充実させるために最も重要なものこそが「経済成長」です。経済成長なくして、国民の安心安全が成り立たないことは世界の国々を見れば一目瞭然です。

 この30年の政治が失敗であったことは結果が如実に示しています。全く経済成長していないからです。経済成長しなくなった理由としてはこれまで、少子高齢化のせいだとか、移民を受け入れてこなかっただとか、先進国ではモノが充足していて成長しなくて当たり前だ、とかいろいろ言われてきました。しかし、先進国の財政支出と経済成長には強い相関があり、より財政出動した国ほど成長しており、極度の緊縮財政を行った日本のみが成長しなかったことがようやく表に出るようになりました(図1・2参照)。問題なのはこの事実を認めたくない人々、責められたくない政治家・官僚・経済学者がいて、さらに大きな問題はマスメディアでは全く触れられず、マスメディアしか見ない国民は全く知らないということです。従って、こういう重要情報を取得するには、ネット、YouTube動画などを活用するしかありません。

 今のマスメディアは非常に大きな問題を抱えています。新聞社やテレビ局には経営母体への出資者(特に外資の参入)の圧力、利潤追求のための発行部数や視聴率稼ぎ、上層部の政治的意識の偏向、ネット情報を侮蔑しマウントする社員の意識、各社横並びの報道、取材能力の低下、等の問題点が噴出しています。例えば、某新聞社で報道批判の責任を取らされ左遷させられたSというベテラン記者のネット記事によれば、自分もそれまでそうであったが、こういう大手新聞の記者は若い人でも変なプライドやエリート意識が極めて強く、朝起きると自社の新聞にしか目を通さず、ネット情報は完全に見下して全く眼中に入れないそうです。そういう人々には柔軟な思考などできようはずもありません。新聞社の凋落傾向、発行部数低下、若年世代のテレビ離れも決して無縁ではありません。

それゆえネット情報が生活の中心になっている主として40~50歳代以下の若年世代と、フィルターのかかった新聞やテレビといった既成のメディアのみを情報源としている主に60歳代以上の中高年世代とでは意識に非常に大きなギャップがあります。個人が情報発信できるSNS(Social Networking Service)、特にYouTubeなど特化型の動画系SNSでは、オールドメディアの偏向報道に与しない有識者からの発信は非常に有用です。しかしSNSの発信は内容が玉石混交なので、事実に基づくものであるか、その事実がフェイクでないと言い切れるかを慎重に見極めて判断する高度なメディアリテラシーも求められます。そうでないと本当にあり得ない陰謀論に加担して過激な行動に出るような人々が出て、利益の相反する既存マスメディアから攻撃され、「SNSはすべて陰謀論」と全否定されてしまいかねません。

私がネットやSNSの持つ可能性に前向きなのは理由があります。約2年前まで、自民党内の積極財政派議員は若手がごく少数のみであったのが、昨年9月に高市氏が自民党総裁選で積極財政を打ち出して名乗りを上げた後は、後押しした安倍元首相も含め、本年2月には若手議員を中心に積極財政推移新議連が設立されるなど積極派が加速度的に増え、2年も経たぬ間に今や党内では積極派と緊縮派が拮抗しつつあるという事実です。また、この変化は自民党内だけでなく、野党内でも見られます。いまだに党を挙げて新自由主義政策や緊縮財政を強力に進めようとする某野党は別として、このような変化はやはりマスメディアの論調に惑わされない、ネット世代の若手議員を中心に見られます。今回の参議院選挙で参政党というできたばかりの新しい政党が1議席を得たことも驚くべきことです。参政党への支持不支持は別として、これは完全に参政党のYouTube動画を見て、主張に共感した人々が押し上げた成果としか言いようがありません。覚醒したネット世代が時代を作りかえるのも意外と早い気がします。

論語には「民は由らしむべし知らしむべからず」という言葉があります。「人民を為政者の施政に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい。転じて、為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない」いう意味です。我々は何も知らず考えずに為政者にすべてお任せでよいのでしょうか。また古今東西の歴史を見れば、日本の戦国時代の桶狭間の戦いや本能寺の変、第2次世界大戦での勝敗を例に挙げるまでもなく情報戦や諜報活動がいかに重要で明暗を分けるかは明白です。日本はスパイ天国とも揶揄され、近隣のⅭ国は水面下で“戦わずして勝つ”「世論戦・心理戦・法律戦」の「三戦」を長期実行中です。「そんなことはあり得ない。陰謀論だ」と思う人はよほど脳天気と言わせてもらいます。日本がウイグルやチベットやウクライナと同じ状況にならないと誰が言えるのでしょうか。重要な情報はごく最近まで一部の人々に偏っていましたが、今やインターネットやスマホの普及で瞬時に全世界に拡散される時代になりました。正しい情報を共有し拡散することが世論や政治を動かす原動力となり、先の世代の希望の光になるのです。そのために以下の4つを実践してみてください。既成概念が覆り、それが常識になる日も案外先ではないかもしれません。

1.政治経済に関心を持つこと

2.新聞、テレビなどのマスメディアからの一方的な情報に頼らないこと

3.SNS(現時点では主にYouTube)を活用して異種の情報を能動的に取り入れること

4.情報の真偽を見極め、客観的な判断をするメディアリテラシーを磨くこと